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第309話 一目置かれる存在になるためには?

 

「あの方は一目置かれている人だ」…経営者の会などに参加すると、必ずといっていいほどこのように周りの人から信頼され存在を認められている人が一人や二人はいらっしゃるものです。「一目置かれる」とは、「尊敬される」「認められる」以上に、その存在に対して一歩引くような謙譲の意味や敬う思いを込めて使われます。

 

ただ業績が良い会社の社長だから…とか、特別な功績を挙げた人だから…だけではない、この「一目置かれる」存在。他の人とは違う何かを持っているのでしょう。

 

会社も同じです。

 

昔のように規模が大きいこと、事業が長く続いていること、実績が一番であることなどが会社を判断する際の基準のすべてではなくなった今。人としても会社としてもそうありたいものなのですが、どうすればそれに近づけるのか?今週のコラムはそれについて考えてみたいと思います。

 

■一目置かれるとは…?

 

まず「一目置く」という言葉について、これは囲碁から来ている言葉だそうです。一目とは碁盤の目の1マスのことで、「一目置く」とは一歩譲ることなのだとか。囲碁に限らず、子どもの頃によく遊んだオセロなどのボードゲームは、最初に始めた方がゲームの主導権をとりやすく、その後の方向性が決まりやすい(勝つ確率が高い)ルールが多いものです。囲碁にも先手の方が試合運びをしやすいという特徴があって、最初の一手は挑戦者の方が打つことになっています。実力が劣る方は、最初の一手を譲ってもらった…という感謝と尊敬の気持ちを持ちながら打つことになるのですが、その時の気持ちを「一目置く」という風に使うようになったのが始まりだそうです。

 

この話を聞いて思い出したことがあります。

 

私がまだ駆け出しのコンサルタントだった頃、指導してくださっていた私の師匠(大先生)は、ご指導先でいつも私に花を持たせてくださっていました。ご自分でされた方がよっぽど早いのに…と思うような仕事もまずは私に挑戦の機会を与えてやらせてくださる。うまくいけば私の手柄、失敗しても先生が上手にフォローをしてくださる…この先生にはいつも心の中で手を合わせていました。同じように感じていた仲間も少なくないはずです。この先生には、皆さん文字通り「一目置いて」いて、独特の存在感や場の雰囲気までをも高める何か特別なオーラのようなものまで感じさせてくださいました。

 

そんな先生も、時代が大きく変わって(コンプライアンスが厳しくなって)行動や表現が極端に制限されるようになってきた頃からやりづらさを感じているようではありましたが、当時の先生を振り返ってみると、一目置かれる存在になるためのヒントが隠されているように思います。

 

■一目置かれる存在になるために…その① 自分の軸を持つ

 

「一目置かれる」人は、他人に流されず常に自分の考えや好き嫌いなど「自己」をしっかりと持っている人と言えるのではないでしょうか。その先生も、いつも自分の価値観や自分がやるべきことを中心においていて、他人の評価や他人の意見に振り回されない…むしろ他人がどう思うか?は全く関係ないように見えました。

 

このようにいうと、自己中心的だとか空気を読めとか思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の中にぶれない軸を持つことと自己チュウとは全く違います。「自分の中に軸がある」とは、自分自身をしっかりと理解して受け入れたうえで自分がやるべきことが明確な状態…会社でいえば理念があり、それがしっかりと浸透している状態といえるでしょう。これが無いと、競合がこうしているからうちも…とか、世間がこういう風潮だからわが社も…といった具合に、右に左にぶれてしまうことになるのです。

 

 

■一目置かれる存在になるために…その② 「NO」が言える

 

「一目置かれる」人は、きちんとNOが言える人。人間は誰しも周囲から良く見られたいとか誉められたいと感じます。そのために、自分の身の丈を超える仕事を引き受けてしまったり、自分がわからない事でも頼まれたら断れなかったりします。少しでも仕事ができる人、とか、良い人だと思われたいという心理が働くからです。

 

しかし、うまくできなかったり間に合わなかったりした時には逆に信頼を損なうことにもつながりますし、相手に迷惑をかけることにもなりかねません。それは自分自身の存在意義とか存在価値そのものまでをも揺るがせかねないため、極力避けたいものです。

 

会社も同じです。目先の仕事や売上に引っ張られず、自社がやるべきこと、自社にしかできないことをしっかりと認識すること。自社のことをきちんと把握しているからこそ断る事かでき、周りからは一目置かれる存在となり得るのです。

 

■一目置かれる存在になるために…その③ 相手を認める器を持つ

 

私たちは常に競争社会に身をおいています。どうしても他人と自分を比較してしまいがちで、相手のあらさがしをしてしまったり難癖をつけたくなったりしますが、一目置かれる人は決してそのようなことをしません。

 

経営者が集まる会など意見を交換する場でも、自分と意見が違うからといって排除しようとしたり批判したりする人をよく見かけますが、「一目置かれる」人はそのようなことはせず、まずは相手の意見を受け入れ、自分の意見と違う事に興味を持って、自分と価値観が違う相手に対して尊敬の念を持ちます。

 

これまで他社との差別化や競争の中で生きてきた私たちにとって、この「相手を認める器を持つ」ことがもしかすると一番難しいのかもしれません。相手を負かすことが自社が勝ち残ることである…と深くインプットされてしまっているから。

 

このコラムを書きながら、私自身も「一目置かれる」人と会社を目指そう、と改めて思いましたが皆様はいかがだったでしょうか?自社のぶれない軸を持ち、無用な戦いにはNOと言い、そして相手を認める器を持つ…そのようなどっしりとした事業経営を目指したいものです。

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